朝焼けの霧の海に、いくつもの城が浮かぶ

勢力図

三菱グループの勢力図

キリンも、ニコンも、ローソンも。実はみんな、三菱グループの一員だ。

作り手のメモ

調べ始めて最初につまずいたのは、「三菱」という名前の会社がどこにもないことでした。キリンもニコンも、名前に「三菱」が付いていないのにグループの一員です。反対に、三菱鉛筆は名前が付いているのに一員ではありません。

動画を作る途中で、「35社で、いったい何人になるのか」が気になりました。ところが、公式の合計はありません。そこで各社の有価証券報告書などを1社ずつ開いて足したのが、下に書いた約86万人です。親会社の数字に含まれる会社を二重に数えないようにするのが、いちばん手間のかかった所でした。

総大将のいない、35社の軍勢

三菱グループには親会社がありません。公式サイトは「『三菱』という会社は存在しません」と説明しています。グループの会社は、三菱広報委員会の会員35社(2026年4月現在)で数えました。人数は各社の連結従業員数です(2026年3月末、臨時雇用を除く)。

「御三家」の3社

報道でそう呼ばれる3社。公式の呼び方ではありません。

  • 三菱商事63,037人
  • 三菱重工業78,793人
  • 三菱UFJ銀行122,102人

三菱UFJ銀行は、会員である銀行の連結の数字です。持株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループは161,576人。

人数がいちばん多い会社

35社の会員のうち、人数がいちばん多い。

  • 三菱電機150,386人

三菱UFJは、会員である三菱UFJ銀行の連結(122,102人)で比べています。持株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの連結は161,576人です。

総大将

この大軍勢に、総大将はいない。

  • 親会社なし
  • 「三菱」という会社存在しない

公式の説明では、三菱という名前やマークを共有する、それぞれ独立した会社の集まりで、共通した方針や意思決定機関もありません(「よくある質問」、2025年12月時点の掲載内容)。

いまの公式サイトにも「各社は各々が独立しながらも個性を尊重し合い、歴史・理念を共有しています」とあります。

「三菱グループの一員」は、三菱広報委員会の会員会社であることを指します。キリンホールディングス、ニコン、ローソンは、いずれも会員です(2026年4月現在)。三菱金曜会(1954年に社長懇談会から改称)は、いまの名簿を公式サイトで確かめられず(確かめられた最後の名簿は2019年1月の保存版)、社数には使っていません。

軍勢は、まだ続く

御三家と三菱電機のほかの、主な会員会社です(人数の多い順)。

会社従業員数範囲・基準日
三菱ケミカルグループ56,678人連結・2026年3月末
AGC52,896人連結・2025年12月末
明治安田生命48,656人単体・2026年3月末
日本郵船39,830人連結・2026年3月末
ENEOSホールディングス34,099人連結・2026年3月末
キリンホールディングス31,144人連結・2025年12月末
三菱自動車工業27,695人連結・2026年3月末
ニコン19,928人連結・2026年3月末
三菱マテリアル17,591人連結・2026年3月末
東京海上日動16,064人単体・2026年3月末
ローソン12,087人連結・2026年2月末
三菱地所11,659人連結・2026年3月末

各社の有価証券報告書・会社概要の従業員数で、臨時雇用は含みません。ローソンは、三菱商事が議決権の50.00%を持ち(2026年3月末)、2024年8月15日から KDDI との共同支配企業です。三菱自動車と日産の資本関係は、日本車の勢力図にまとめています。

35社をあわせた人数は、公式には出ていません。各社の資料から集計した推計では85万人以上(約86万人)です。親会社の連結に入る会社(三菱食品、三菱プレシジョン)は重ねて数えず、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズと三菱ふそうトラック・バスは会社概要の概数を足しました。基準日は会社によって2025年9月末〜2026年5月と異なり、連結には海外の従業員も含みます。

三菱グループは、どう作られたか

始まりは、土佐の海運の商会。戦後に一度は名前もマークも禁じられ、各社は再び同じ名前のもとに集まりました。

  1. 土佐藩の後藤象二郎・板垣退助らが九十九商会を設立し、藩の海運事業を譲る。経営・監督を任されたのが岩崎彌太郎で、公式の沿革はこれを「三菱」の誕生とする。九十九商会の船の旗「三角菱」が、スリーダイヤの原型と言われる。
  2. 長崎造船所を政府から借り受ける(のちに買収)。
  3. 政府の要請で、買い手のなかった丸の内・神田の土地約11万坪を買い取る。
  4. 三菱本社が解散。
  5. GHQが三井・三菱・住友系の各社に、旧財閥の商号・商標の使用禁止を命じる。三菱系は19社が対象。スリーダイヤの商標は、新しい商標との併用期間をおいて、1951年7月以降に完全廃止とされた。
  6. 三井・三菱・住友の3グループが共同で、マッカーサー宛てに陳情書を出す。
  7. 講和条約の発効で「財閥商号の使用禁止等に関する政令」が廃止。三菱の名称に復帰し、同じ年に社長懇談会が発足(1954年に三菱金曜会と改称)。
  8. 三菱広報委員会の会員は35社。

スリーダイヤの由来について、公式サイトは「正確な由来ははっきりしていませんが」としたうえで、九十九商会の船旗「三角菱」が原型と言われ、山内家の家紋「三ツ柏」と岩崎家の家紋「三階菱」に由来すると考えられている、と説明しています。

1949年の命令と1951年7月以降の完全廃止は、三井広報委員会「三井の歴史」の説明によります。三菱グループの沿革では、1950年に「三菱の商号および標章使用禁止される」とされています。三井と住友の歩みは、三井グループの勢力図・住友グループの勢力図にまとめています。

ちなみに、三菱鉛筆は三菱グループの会社ではありません。三菱鉛筆の公式サイトは「当社はこちらのグループ企業ではありません」と書いています。三菱鉛筆のマークと商標は、1903年に登録されたものです。

動画で見る

この勢力図を、戦国の軍勢に見立てた短い動画です。

出典

確認日:2026年10月12日(1870年の設立の経緯、1884年・1890年の出来事、1949年〜1952年の商号・商標の禁止と解除は2026年10月17日)。人数は、各社の有価証券報告書・会社概要の値です。

  1. 三菱広報委員会 https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/ / リーフレット(2026年4月) https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/publicaffairscommittee.pdf
  2. 三菱グループ公式サイト「よくある質問」(2025年12月15日の保存版) https://web.archive.org/web/20251215173213/https://www.mitsubishi.com/ja/faq/
  3. 三菱グループ公式サイト(グループの理念) https://www.mitsubishi.com/ja/profile/group/principle/
  4. 三菱グループ公式サイト「沿革」 https://www.mitsubishi.com/ja/profile/history/outline/
  5. 三菱グループ公式サイト「三菱マーク」 https://www.mitsubishi.com/ja/mark/
  6. 三菱広報委員会「会員会社年表」 https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/companies/chronology/
  7. 三菱金曜会(2019年1月の保存版) https://web.archive.org/web/20190101002728/http://www.mitsubishi.com/kinyokai/
  8. 三井広報委員会「三井の歴史」(戦後の商号・商標の使用禁止と陳情) https://www.mitsuipr.com/history/postwar/02/
  9. 「御三家」という呼び方の例:マネーポスト(2024年1月31日) https://www.moneypost.jp/1108333
  10. 三菱商事 有価証券報告書 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/fstatement/pdf/2025_04/p06.pdf (ローソンの議決権の割合も)
  11. 三菱重工業 有価証券報告書 https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2025/2025_04_all.pdf
  12. 三菱UFJ銀行 有価証券報告書 https://www.mufg.jp/dam/ir/report/security_report/pdf/yu_bk26.pdf
  13. 三菱電機 有価証券報告書 https://www.mitsubishielectric.co.jp/investors/data/negotiable-securities/pdf/155.pdf
  14. そのほかの会社の人数と35社の合計:各社の有価証券報告書(2026年3月期ほか)・会社概要
  15. 三菱鉛筆「よくあるご質問」 https://www.mpuni.co.jp/customer/ans_133.html

最終更新:2026年10月18日。各社とは関係のない非公式のまとめです。誤りに気づいた方は、お問い合わせからお知らせください。