川の流れる城下町へ、色の違う軍勢が橋を渡って集まる

勢力図

三井グループの勢力図

東レも、サッポロも、三越も。実はみんな、三井グループの一員だ。

作り手のメモ

三井の回でいちばん迷ったのは、どこまでを「三井グループ」と呼ぶかでした。トヨタ自動車や東芝も、三井ゆかりの研究会や記念事業には名を連ねていますが、三井広報委員会の会員ではありません。このページでは、会員の22社だけで数えています。

調べていてもう一つ驚いたのは、東京の地名「恵比寿」が、ビールの名前から生まれたことです。年表のあとに、サッポロビールの社史にある経緯をまとめました。

江戸の呉服店から広がった、22社の軍勢

グループの会社は、三井広報委員会の会員22社で数えています。各社はそれぞれ独立した会社で、上下関係はありません。人数は各社の連結従業員数です(2026年3月末、臨時従業員を除く)。

越後屋の流れ

1673年の呉服店と、両替の店から。

  • 三越伊勢丹ホールディングス8,670人
  • 三井住友銀行71,100人

「三越」の名は、三井の「三」と越後屋の「越」。三越の沿革は、越後屋が併置した両替店を「現在の三井住友銀行」と書いています。三井住友銀行は、住友グループの一覧にも載っています。

三井物産と、物産から生まれた会社

明治の交易の会社から、次々と会社が生まれた。

  • 三井物産55,463人
  • 三井E&S5,998人
  • 商船三井11,567人
  • 東レ46,294人

三井E&Sは旧三井物産の造船部として創業。商船三井は、物産の船舶部が独立した三井船舶が前身の一つ。東レは三井物産の出資で生まれ、ユニクロのヒートテックも、東レとユニクロのパートナーシップから生まれた商品です。

さらに続く軍勢

化学、土地と建物、紙、金属、ビール。

  • 三井化学16,967人
  • 三井不動産27,704人
  • 王子ホールディングス38,757人
  • 三井金属8,188人
  • サッポロ6,102人

三井化学は、1912年に完成した大牟田のコークス炉から始まりました。東京ドームは三井不動産の子会社です。サッポロだけ2025年12月末の数字です。

いまの三井物産は1947年に設立された会社で、明治の旧三井物産(1876年創立、1947年に解散)とは法人格が別です。三井物産の人数は、100%子会社のエームサービスを含みます。サッポロは旧サッポロホールディングスの連結の数字で、2026年7月に上場会社の社名がサッポロビールになりました。

「三井グループの一員」は、三井広報委員会の会員会社であることを指します。東レ、サッポロ、三越(三越伊勢丹ホールディングスとして)は、いずれも会員です。トヨタ自動車と東芝は、三井広報委員会の会員ではありません(三井業際研究所の会員30社と、三井グループ350周年記念事業の実行委員会24社には入っています)。

22社は、会員会社のページに載る会社を数えた数です(ページに日付と社数の記載はありません)。同じサイトの「当会の概要」には「24社」とありますが古い数字で、三井住友建設とJA三井リースは2026年に会員から外れています。

22社をあわせた人数は、公式には出ていません。各社の資料から、親会社の連結に入る会社を重ねずに集計した推計では約38.4万人です(三井住友銀行など金融4社は会員である会社自身の数字、大樹生命は単体)。三菱や住友の合計より小さいのは一覧の範囲の違いによるもので、三井広報委員会にはトヨタ自動車や東芝が入っていません。

三井グループは、どう作られたか

呉服店と両替店から始まり、明治に銀行・物産・炭鉱へ。物産からは、次々と会社が生まれました。

  1. 江戸本町1丁目に、三井越後屋呉服店を開く。「店前売り」と「現銀(金)掛値なし」で売った。
  2. 江戸に両替店を開く(1686年には京都にも)。
  3. 三井銀行(日本初の民間銀行)と、旧三井物産が生まれる。
  4. 三池炭鉱の払い下げを落札(1997年に閉山)。
  5. 三越呉服店(日本初の百貨店)。
  6. 大牟田のコークス炉が完成。三井化学の始まり。
  7. 旧三井物産の造船部として創業。いまの三井E&S。
  8. 三井物産の出資で、東洋レーヨンを設立(1970年に東レ)。
  9. 旧三井合名の不動産を経営するため、三井不動産を設立。
  10. 三井物産の船舶部が独立して三井船舶に(1964年に大阪商船と合併。いまの商船三井)。
  11. 三井本社が解散を決議。
  12. 旧三井物産が解散。同じ年に第一物産が設立され、1959年に三井物産の名に。
  13. GHQが三井・三菱・住友系の各社に、旧財閥の商号・商標の使用禁止を命じる。三井系は15社が対象。「丸に井桁三」の商標は、新しい商標との併用期間をおいて、1951年7月以降に完全廃止とされた。
  14. 三井・三菱・住友の3グループが共同で、マッカーサー宛てに陳情書を出す。
  15. 講和条約の発効で「財閥商号の使用禁止等に関する政令」が廃止。
  16. さくら銀行と住友銀行が合併し、三井住友銀行に。さくら銀行は、1990年に三井銀行と太陽神戸銀行が合併した太陽神戸三井銀行が、1992年に改称した銀行。
  17. 三井不動産が、株式公開買付けで東京ドームを連結子会社に(議決権の80.0%)。

「丸に井桁三」は越後屋の暖簾印で、三井広報委員会は「丸は天、井桁は地、三は人を表し、『天地人』」と説明しています。三菱と住友の歩みは、三菱グループの勢力図・住友グループの勢力図にまとめています。

三井住友銀行のほか、三井住友信託銀行、三井住友海上、三井住友ファイナンス&リースも、三井広報委員会の会員と、住友グループの一覧の両方に名前があります。

ちなみに、東京の地名「恵比寿」は、ビールの名前から生まれました。1901年2月、ビール工場の隣に製品出荷のための貨物駅「恵比寿停車場」ができ、サッポロビールの社史はこれを、この土地を「恵比寿」と呼ぶ発端としています。1906年に旅客用の恵比寿駅ができ、1928年には地名にも「恵比寿通」が生まれました。当時のビールの名は「恵比寿ビール」(日本麦酒)で、いまの「ヱビス」はサッポロビールのブランドです。

出典

確認日:2026年10月17日。人数は、各社の有価証券報告書の値です。

  1. 三井広報委員会「会員会社」 https://www.mitsuipr.com/members/
  2. 三井広報委員会「三井の歴史」(江戸) https://www.mitsuipr.com/history/edo/02/ / https://www.mitsuipr.com/history/edo/03/
  3. 三井広報委員会「三井の歴史」(明治) https://www.mitsuipr.com/history/meiji/02/ / https://www.mitsuipr.com/history/meiji/03/ / https://www.mitsuipr.com/history/meiji/06/
  4. 三井広報委員会「三井の歴史」(戦後) https://www.mitsuipr.com/history/postwar/01/ / https://www.mitsuipr.com/history/postwar/02/
  5. 三越伊勢丹ホールディングス「三越の沿革」 https://www.imhds.co.jp/corporate/business/department/history/history-mitsukoshi.html
  6. 三井物産「三井物産のルーツ」 https://www.mitsui.com/jp/ja/roots/index.html
  7. 三井E&S「沿革」 https://www.mes.co.jp/company/history/
  8. 商船三井「沿革」 https://www.mol.co.jp/corporate/history/
  9. 東レ「東レとユニクロ」 https://www.toray.co.jp/partnership/uniqlo/
  10. 三井化学「沿革」 https://jp.mitsuichemicals.com/jp/corporate/history/
  11. 三井住友銀行「沿革」 https://www.smbc.co.jp/aboutus/profile/history.html
  12. 住友グループ広報委員会「住友グループ各社のご案内」 https://www.sumitomo.gr.jp/org/company/
  13. サッポロビール「社史」 https://www.sapporobreweries.com/who-we-are/history/history-01/
  14. 有価証券報告書:三井物産 https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/securities/__icsFiles/afieldfile/2026/08/12/ja_107yuho.pdf / 三井E&S https://www.mes.co.jp/assets/uploads/finance-report_123.pdf / 三井不動産(東京ドームの議決権の割合も) https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/ir/library/fs/pdf/YUHO_2603.pdf
  15. そのほかの会社の人数(三越伊勢丹ホールディングス、三井住友銀行、商船三井、東レ、三井化学、王子ホールディングス、三井金属、サッポロ)と22社の合計:各社の有価証券報告書・半期報告書・会社概要。東洋レーヨンの設立は東レの有価証券報告書
  16. トヨタ自動車・東芝の扱い:三井業際研究所、三井グループ350周年のサイト

最終更新:2026年10月18日。各社とは関係のない非公式のまとめです。誤りに気づいた方は、お問い合わせからお知らせください。